追体験アプリ
「でも、追体験ってことは有紗が経験したのと同じ経験をするってことでしょう? 真純のことは偶然そうなっただけなのかもしれない」
多美子の言いたいことはよくわかった。
私が体験したことを、あの3人は過激に経験している。
それはもう追体験とは言えない。
「考えたんだけど、あのアプリは人が作ったものじゃないかもって多美子言ってたよね?」
2人で中庭に行ったときのことだ。
あのとき私は初めて他人にアプリのことを伝えた。
「うん。そうだね」
「もし多美子の言っているようにこの世のものじゃないアプリだとしたら、このアプリは私の憎しみを汲み取ってくれているのかもしれない」
だから、私が実際に経験したことよりも過激なことが相手に起こっているのだ。
そう考えると納得いくことだった。
「夕里子にはなにをするの?」
多美子が唾を飲み込む音が聞こえてきた。
私は無言で自分のブラウスを脱ぎ始めた。
「有紗?」
疑問を感じて私の名前を呼ぶ多美子の前で、私はカッターナイフで腹部を切っていた。
痛みが走り、ジワリと血が滲んでくる。
すぐに絆創膏を取り出して傷口に貼った。
「なにしてるの!?」
多美子が悲鳴のような声を上げるので私はあわてて多美子の口を塞いだ。
多美子の言いたいことはよくわかった。
私が体験したことを、あの3人は過激に経験している。
それはもう追体験とは言えない。
「考えたんだけど、あのアプリは人が作ったものじゃないかもって多美子言ってたよね?」
2人で中庭に行ったときのことだ。
あのとき私は初めて他人にアプリのことを伝えた。
「うん。そうだね」
「もし多美子の言っているようにこの世のものじゃないアプリだとしたら、このアプリは私の憎しみを汲み取ってくれているのかもしれない」
だから、私が実際に経験したことよりも過激なことが相手に起こっているのだ。
そう考えると納得いくことだった。
「夕里子にはなにをするの?」
多美子が唾を飲み込む音が聞こえてきた。
私は無言で自分のブラウスを脱ぎ始めた。
「有紗?」
疑問を感じて私の名前を呼ぶ多美子の前で、私はカッターナイフで腹部を切っていた。
痛みが走り、ジワリと血が滲んでくる。
すぐに絆創膏を取り出して傷口に貼った。
「なにしてるの!?」
多美子が悲鳴のような声を上げるので私はあわてて多美子の口を塞いだ。