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嬉しい!


こんなに嬉しいことがあるなんて!


もう学校へ行くことを怯えなくても良い。


もうあいつら3人にイジメられることもない。


暴力や金銭の要求だってない!


「あはははははは!!」


普通に生活をしている人にはわからないだろう。


普通に学校に行けるということが、どれほど愉快なことなのか。


私はまた笑いが止まらなくなってしまった。


横断歩道の上だと言うことも忘れてお腹を抱えて笑う。


あちこちからクラクションを鳴らされても、全然聞こえていなかった。


……聞こえて、いなかった。


ドンッ! と音が聞こえて、ついで体に強い衝撃が走って私は空中へ待っていた。


え?


どうしたんだろう?


嬉しすぎて羽でも生えたのかな?


そう考えた次の瞬間私の体は急速に落下を初めてコンクリートに叩きつけられていた。


「あは……あはは……」


自分の笑い声は今にも消えてしまいそうだ。


だけどまだ口角が上がっているのがわかる。


視界の中には沢山の人がいて、凹んだ車が見えて、それからコンクリートにあふれていく血が見えた。


これが自分の血だと気がつく前に目の前が真っ白になる。


周囲の喧騒はかき消えていき、重たい眠気に引き込まれる。
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