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それを聞いたクラスメートたちが笑い出す。


「だからぁ、漢文なんてわけわかんないんだって! そもそもこんなの勉強したって絶対無意味だし」


由希が言い訳を始める中、私はようやく立ち上がって教卓へ向かった。


半分くらいの生徒たちがテストを持っていったみたいだ。


その中から自分の答案用紙を見つけ出す。


47点。


まぁまぁいい点数だ。


やっぱり勉強はできないよりもできたほうがいいよね。


そう思って自然と頬がゆるんだ、そのときだった。


気配がして顔をあげるといつの間にか由希が私の目の前にたっていたのだ。


その表情は険しくて私はすぐに笑顔を引っ込めた。


「お前、今私のこと笑っただろ」


それは突き刺すような声だった。


私は一瞬にして背筋が寒くなり、自分の答案用紙を握りしめて左右に首を振った。


「うそつけ、笑っただろ!」
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