追体験アプリ
☆☆☆

「行く必要ないよ」


5時間目が始まる前にトイレに行こうと廊下へ出たところで、太一に声をかけられた。


私は思わず眉間にシワを寄せて太一をにらみつける。


「なんのこと?」


「聞こえたんだ。また呼び出しだろ?」


こいつは地獄耳か。


それとも私のストーカーか。


とにかく、こんな場所で堂々と話しかけるなんてどうかしてる。


夕里子たちに知られたらまたなにを言われるかわからないのに。


「あんたには関係ないでしょ」


「でも、ほっとけない」


「いいからどけてよ。それとも女子トイレまでついてくるつもり?」


「ごめん」


私は大きく舌打ちをして、太一の横を通り過ぎたのだった。
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