追体験アプリ
☆☆☆

その通知が来ていたことに気がついたのは家に戻ってからだった。


スマホを確認してみると追体験アプリから『追体験完了しました』という文字が表示されていたのだ。


私はその文面を見た瞬間凍りつき、持っていたカバンを床に落としてしまった。


「追体験完了……?」


今日の出来事を思い出す。


由希が見知らぬ男に突然殴られたという衝撃的なニュース。


それは私が昨日追体験アプリに記入した出来事と一致しているのだ。


加害者がどんな人なのかはわからない。


だけど確かに私の追体験は実行されている。


私は椅子に腰をかけると大きく息を吸い込んだ。


そして今度はゆっくり丁寧に追体験アプリの使い方について読み直し始めたのだった。
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