追体験アプリ
☆☆☆

翌日、私ははやる気持ちを抑えることができずにいつもより10分早く家をでてしまった。


足元にはパープルの運動靴。


それが軽快に地面を蹴り上げて学校へと近づいていく。


下駄箱まで来て夕里子の靴があるかどうか確認したけれど、まだ来ていないようだった。


チッと舌打ちをして自分の運動靴を下駄箱へしまう寸前で手を止めた。


まさか、今日も同じことが起きたりしないよね?


そんな不安が浮かんできて、下駄箱に入れようとしていた運動靴を手にもったまま教室へと向かうことにした。


イジメを行うヤツらの行動はワンパターンだ。


こっちが少し頭を使って隠しておけば気がつくことはないはずだ。


私は教室に入ると自分の体操着袋の中に運動靴を隠したのだった。


「あれ、有紗来てんじゃん」


10分ほどして夕里子たちが教室へ入ってくると真っ先にそう言った。
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