追体験アプリ
☆☆☆
どうして今回は時間がかかっているんだろう?
トイレの個室でアプリを起動してみてもその理由はわからなくて、徐々に気持ちが焦り始める。
本当に今回も実行されるんだろうか?
私、なにか入力に失敗でもしたんだろうか?
浮かんでくる疑問を解決する方法はなにもないし、誰にも相談できないまま、3時間目の体育の授業がやってきた。
私は体操着袋から運動靴を取り出して下駄箱で履き替えた。
偶然私の隣にいたクラスメートがその様子を見て怪訝そうな表情を浮かべたけれど、なにも言ってこなかった。
そしてグラウンドへ向かおうとしたときだった。
他のクラスの女子生徒が慌てた様子で近づいてきて、夕里子の前に立った。
「夕里子ちゃんごめん! 私、さっきの授業で間違えて夕里子ちゃんの靴をはいちゃったの!」
そう言って頭を下げながらその子が差し出したのは泥に塗れた夕里子の運動靴だった。
白かったそれは見事に土色になっている。
それを見た瞬間夕里子の表情が険しくなった。
「はぁ? 履き間違えたってどういうこと!?」
「わ、私の下駄箱、反対側の、夕里子ちゃんと同じ場所で、だから」
どうして今回は時間がかかっているんだろう?
トイレの個室でアプリを起動してみてもその理由はわからなくて、徐々に気持ちが焦り始める。
本当に今回も実行されるんだろうか?
私、なにか入力に失敗でもしたんだろうか?
浮かんでくる疑問を解決する方法はなにもないし、誰にも相談できないまま、3時間目の体育の授業がやってきた。
私は体操着袋から運動靴を取り出して下駄箱で履き替えた。
偶然私の隣にいたクラスメートがその様子を見て怪訝そうな表情を浮かべたけれど、なにも言ってこなかった。
そしてグラウンドへ向かおうとしたときだった。
他のクラスの女子生徒が慌てた様子で近づいてきて、夕里子の前に立った。
「夕里子ちゃんごめん! 私、さっきの授業で間違えて夕里子ちゃんの靴をはいちゃったの!」
そう言って頭を下げながらその子が差し出したのは泥に塗れた夕里子の運動靴だった。
白かったそれは見事に土色になっている。
それを見た瞬間夕里子の表情が険しくなった。
「はぁ? 履き間違えたってどういうこと!?」
「わ、私の下駄箱、反対側の、夕里子ちゃんと同じ場所で、だから」