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多美子は本当に私のことを尊敬している様子で目を輝かせているので、私は余計に緊張してしまって返事に困ってしまった。


こんなふうにクラスメートから褒められることがあるなんて、思ってもいなかった。


「今度テニス教えてね?」


多美子にそう言われ、私は自分の頬が熱くなるのを感じた。


「もちろんだよ」


私は笑顔でそう返事をしたのだった。


誰かに褒められるだけで自分に自信がつく。


単純だと笑われそうだけれど、人間はそこまで複雑な感情で動いてはいないと思う。


嬉しいと笑うし、悲しいと泣く、ただそれだけだから、自信がついてもいいと考えることにした。


「体育館からグラウンドを見てたよ。テニスうまいんだね」


着替えて教室に戻るとまっさきに太一が話しかけてきた。


「だけど大丈夫? あんなに活躍したらまたなにかされたりしない?」


こちらは無視しているのに、太一は必要に話しかけて私の机までついてきた。


そのデリカシーのなさに苛立ち、にらみあげる。


相変わらず身長ばかり高くて役に立ちそうにない男だ。


「私、もうあんたは必要ないから」


もともとそれほど必要だと感じたことはなかったけれど、私はキッパリとそう言い切ったのだった。
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