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１年A組の教室へ入ると、まず大きな声で挨拶をした。


先に登校してきていた生徒たちが驚いた顔をこちらへむける。


私がみんなに挨拶するなんて、何ヶ月ぶりかのことだからだ。


イジメの傍観者たちに挨拶なんてしなくていいと考えていた。


「おはよう有紗！」


自分の席へ座るより先に多美子が近づいてきた。


私は笑顔になる。


昨日のうちにお互いに呼び捨てでいいということに決めてあったのだ。


「おはよう多美子」


なんだか恥ずかしくてうつむいてしまう。


「昨日はいきなりあんなメッセージ送ってごめんねぇ？　迷惑じゃなかった？」


私は勢いよく左右に首を振る。


迷惑なんてとんでもない。


あのメッセージがなかったら、私はきっと帰ってから泣いていたと思う。


それをとどまらせてくれて、大きな嬉しさをくれたのは多美子だ。


「迷惑なんかじゃないよ。嬉しかった」


「そっか。それならよかった」


多美子も嬉しそうに笑う。


それから私達は他愛のない会話を続けたが、もっぱら多美子は私の運動神経について聞きたがった。
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