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「相変わらずなの?」


夕里子が聞くと、真純は大きな舌打ちをした。


「なにも変わらないよ、うちの親は」


「じゃあ今日も門限あるんだ?」


「8時まで」


真純の口から門限という言葉が出てくるなんて思っていなくて、私は眉間にシワを寄せた。


これは本当に自分の知っている真純なんだろうか?


「うちは放任主義だよ。兄貴がいれば私なんてどうでもいいんだから」


そう言ったのは由希だった。


由希は劣等感を持っているようで、さっきから力まかせにボールを投げてはガーターを繰り返している。


点数なんてどうでもいいみたいだ。


「夕里子は?」


真純に話を振られた夕里子は顔をしかめた。


「うちは相変わらず。オヤジは女の人とデートしてるみたいだけど、母親が離婚届置いて出ていかなかったから、どうしようもないって感じ」


肩をすくめてなんでもないような調子で言う夕里子。


3人ともそれぞれ家庭内になにかしらの事情を抱えていることが伺えた。


そのストレスのはけ口が私ということか……。


3人の新な側面を見た気分になったが、どれで今までやってきたことが許されるとは思わない。


それはそれ、これはこれだ。


どんな環境で育ったって、いい人はいる。


結局その人の性格も大きく関係しているはずだ。
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