追体験アプリ
私はその言葉に胸がチクリと痛むのを感じた。


私の家はどうだろうと考えたとき、真純に比べれば随分と幸せだと思ったからだ。


「有紗もさぁ、その辺の考えが足りなかったんだよね」


夕里子と由希はあるき出しながらまた私の名前を出した。


「だよね。家族旅行の話しなんてクラス内でするからだよ」


夕里子は由希の言葉に同意して頷いている。


その言葉に私まばたきを繰り返した。


家族旅行の話?


そういえば高校に入学してすぐのころにしたかもしれない。


あの頃はまだイジメられていなくて、クラスメートたちとも普通に会話していたっけ。


その会話の中で何気なく話すような内容だったと思う。


それを真純たちに聞かれていて、ターゲットにされたということかもしれない。


そうとわかると全身が脱力してしまうようだった。


家族旅行に行く子なんていくらでもいる。


真純たいちにとっては特別に私じゃなくてもよかったんだ。


ただ偶然そういう話をしたのが私だったというだけで。
< 75 / 170 >

この作品をシェア

pagetop