追体験アプリ
☆☆☆
夕里子たちにバレないうちにさっさと家に戻ってきた私はスマホを見て笑いをこらえていた。
せっかくだからさっきの様子を動画撮影しておいたのだ。
2人の男を前にして真っ青になり、涙目になって怯えている夕里子と由希の姿。
普段は私の前であれだけデカイ顔をしている2人がこんなにビビっている。
それがおかしくて何度も笑いを我慢しきれなくて、吹き出してしまった。
「有紗、さっきから何1人で笑ってるの?」
廊下からお母さんに声をかけられて、慌ててスマホをクッションの下に隠し、近くにあった漫画を手にとった。
「ごめん。これが面白かったの」
ドアを開けたお母さんへ向けて漫画を見せる。
「漫画を読んでいたのね? びっくりさせないでよ」
お母さんは軽く私を睨んでから、キッチンへ戻っていった。
そして私はまたスマホで動画を確認する。
何度見てもおもしろい。
こんなに愉快なことは今まで経験したことがない。
「それもこれも、アプリのおかげだね」
私は『追体験完了しました』という通知を見て、口角を上げて笑ったのだった。
夕里子たちにバレないうちにさっさと家に戻ってきた私はスマホを見て笑いをこらえていた。
せっかくだからさっきの様子を動画撮影しておいたのだ。
2人の男を前にして真っ青になり、涙目になって怯えている夕里子と由希の姿。
普段は私の前であれだけデカイ顔をしている2人がこんなにビビっている。
それがおかしくて何度も笑いを我慢しきれなくて、吹き出してしまった。
「有紗、さっきから何1人で笑ってるの?」
廊下からお母さんに声をかけられて、慌ててスマホをクッションの下に隠し、近くにあった漫画を手にとった。
「ごめん。これが面白かったの」
ドアを開けたお母さんへ向けて漫画を見せる。
「漫画を読んでいたのね? びっくりさせないでよ」
お母さんは軽く私を睨んでから、キッチンへ戻っていった。
そして私はまたスマホで動画を確認する。
何度見てもおもしろい。
こんなに愉快なことは今まで経験したことがない。
「それもこれも、アプリのおかげだね」
私は『追体験完了しました』という通知を見て、口角を上げて笑ったのだった。