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遊びに着ていく服なんてあまり持っていないから、無難に白いブラウスと紺色のスロングカートを選んできた。


襟元がレースになっていること以外はほとんど学校の制服と変わりない。


「そ、そうかな?」


褒められることにもなれていなくてしどろもどろになってしまう。


「多美子こそ、ワンピース可愛いね。夏っぽくて」


「ありがとう。でもこれ安いんだよ」


多美子は激安のアパレル店のお店を口にして、2人して笑った。


多美子が言うには安くて可愛いものは実は沢山溢れているから、後はどうやってそれを見つけるか、ということらしい。


最初からブランドじゃないとダメって子には絶対に見つけられない宝物があるんだって。


そういう考え方がとても好きだと感じた。


多美子と過ごす時間は楽しくて、会話が途切れることもなく水族館へ到着していた。


これなら行き先は水族館でなくてもよかったかもしれない。


そんな風に感じながら2人してジンベエザメとか、大ダコとかを見回る。


「なんか安心した」


多美子がそう言ったのは休憩のために入ったレストランでだった。
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