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私は海をイメージした青いカレーライスを注文して、多美子はシロイルカをイメージした白いオムライスを食べていたときだった。


「安心?」


カレーを食べる手を止めて聞き返す。


「うん。学校ではあまり笑っている印象がなかったから」


そう言われて私は口の中に残っていたカレーをゴクリと飲み込んだ。


「ごめんね変なこと言って」


多美子は笑ってオムライスを口に運ぶ。


ちょうどシロイルカのしっぽの部分だ。


「多美子のおかげだよ」


私はぽつりと呟いたけれど、その声は多美子まで届かなかったのだった。
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