追体験アプリ
「席は井村の隣が空いているから。そこでいいか?」


「どこでも大丈夫です」


先生に名前を呼ばれて背筋をピンと伸ばす。


女子生徒たちから「いいなぁ」という声が漏れて聞こえてきた。


黒坂くんは私の左隣に座ると「教科書とか新しいのがなくて、見せてもらえる?」と、さっそく声をかけてきた。


もちろんだ。


断る理由なんて少しもない。


私はオーバーなくらい頷いて、黒坂くんと席をくっつけたのだった。
< 86 / 170 >

この作品をシェア

pagetop