追体験アプリ
私がそう言うと、多美子は時々振り返りながらも教室へ戻っていった。


それから個室に入りカギをかけ、私はアプリを起動させた。


まさかこんなに面白いことをしてくれるとは思っていなかった。


自分がやられたことがどんな風にして3人に降りかかるのか見るのが楽しみで仕方なかった。


アプリの用事を済ませた私は顔を洗って、傷ついた表情を顔面に貼り付けて教室へ戻った。


私が教室へ入った瞬間周りの会話が途絶えて変わりに3人の笑い声が聞こえてきた。


「チョーク食べるとか悲惨」


「どんだけお腹へってたの?」


夕里子と由希がわざとらしい会話をして笑っている。


私は2人から視線を外して自分の席へと急いだ。


隣の席の黒坂くんはまだ戻ってきていないので、あの3人はもうしばらく私をイジって遊ぶつもりなんだろう。


だけどそうはいかなかった。


3人はなにを思ったのか黒板の前に息、普段はしないラクガキを開始したのだ。


「なにそれ変な絵」


「由希の絵だって下手くそじゃん」


そう言い合いながら小学生みたいな絵を描いていく。
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