追体験アプリ
その後学校内では3人のとった奇行が大きな話題になっていたけれど、誰も私のせいだと思っている人はいなかった。


気がつくはずがない。


私は完全な復讐をしているのだから。


そう思うとまるで自分が神様にでもなったような気分になって、ニヤケが止まらなかった。


「もしかして何か知ってるのか?」


放課後になって帰宅準備をしていたときに突然そう声をかけられて私は動きをとめた。


顔を上げるとそこに立っていたのは太一だった。


「知ってるって、なにが?」


私はいつもどおり険しい声で答える。


アプリも多美子も私のそばにいてくれる今、太一の存在は邪魔でしかなかったし、

前に1度そう伝えたはずだ。


それでもこうして声をかけてくるのだから相当な勇気を持っているのかもしれない。


「なにかやっているなら俺に教えてほしい」


「はぁ? だからなんのことよ」


こんなヤツ相手にしていても仕方がない。


会話にならないと思い、カバンを手に持ってあるき出す。


「例えば復讐とか」


その言葉に教室から出る寸前足を止めた。


振り向くと今にも泣き出してしまいそうな顔の太一が立っている。
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