時の中で貴方と
「ねぇ、須藤さん。俺の話聞いてた?」

「え……っと、なんでしたっけ??」

「はぁ…。次のボランティアは、小学生への読み聞かせ!! 須藤さんは星野くんとペア!!
後でちゃんと挨拶行っといてねって話。」

「あ、分かりました」

「うん。よろしくね。」

リーダーの話を全然聞いていなかった私も悪かったけど、正直な所星野君とペアになりたくない。なんでかって?

私の好きな人だったから…。

私は、須藤朱音(スドウ アカネ)教育大学の2年生。将来は学校の先生になりたくて、勉強に励んでいる。今はたくさんの経験を積みたくて、ボランティアに参加中。

一方で、私とペアを組むことになった星野海斗(ホシノ カイト)は大学院の1年生。少し静かでクールな性格。だった気がする。
だった気がするって言うのは、私の中のイメージは、高校生で止まってしまっているから。

「星野さん。」
私は恐る恐る声をかけた。

「ん?」

「あの、次のボランティアでペアになりました。須藤です。」

「あ~。色々よろしくね。僕読み聞かせ苦手だから、須藤さんに頼るかもしれない。」

「そうなんですか?なんか意外ですね」

「そうかな?笑 とりあえず、不便なこともあると思うから連絡先ぐらいは交換しとく?」

「それはありがたいです。是非交換してください。」

私はこうして、初恋相手だった星野くんと連絡先を交換した。いつでも話せると考えたら、胸が高鳴り、ドキドキしたのが自分でもわかった。

ボランティアの打ち合わせも終わり、帰り支度をしていると、星野くんが話しかけてきた。

「須藤さん。」

「はい?」

「このあと少し時間あったら、カフェでもどうかな?」

「いいですね。賛成です!!」
暑かったし、家に帰っても暇なので断る理由はなかった。


カフェにつくと、
中は冷房が効いており、寒いぐらいだった。

「何飲む?」

「アイスのカフェラテでお願いします。」

「おっけー」

これは……デートでは??
ううん笑 それは無いか。

「でさ、朱音」

「え?」
ナチュラルに呼び捨てされてびっくりした。

「あれ?僕が気がついてないとでも思った?」

「普通に思ってましたよ。」

「あはは笑 そんなわけないじゃん笑
初期の頃からちゃん知ってたよ。」

「嘘でしょ……」

「嘘じゃないでーす。」

「なら、声かけてくれれば……」

「むしろ、朱音の方が気がついてないのかと思ってたよ。」

「……そんなわけ。」

「まぁ、敬語じゃなくていいよ。
昔みたいに。」

「そんな訳にはいかないです。
一応星野さんは年上ですし。」

「あれ?昔はずっとタメ口だったじゃん。
なんかむず痒いから、タメにして。」

「いや、ほんとに……」

「呼べ?海斗~って」

「か、海斗///」

「うん。それでいいよ。」

私は恥ずかしくて恥ずかしくてたまらなかった。

「それにしても、朱音昔よりずっと大人っぽくなったし、綺麗になったね。」

「え??おだてても、何も出ませんよ?」

「あ、バレた?実はさ、頼み事聞いて欲しいんだよ。」

「嫌です。」

「即答しなくてもいいじゃん…」
なんとも言えない悲しそうな表情をするので、仕方なく聞くことにした。

「一つだけなら聞きます。」

「ほんと?さすが朱音。
実はさ、彼女のふりをして欲しいんだよね。」

「やっぱり無理です。」

「なんでよ、話が違うじゃん。」

「だって、私なんかに彼女のふりとか出来るわけないじゃん。」

「大丈夫。今の朱音なら。」

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