時の中で貴方と
「こんにちわ~」
今日は待ちに待った小学生への読み聞かせボランティアの日。

私の隣にはもちろん海斗もいて。

「あれ?なに?2人って恋人だったの?」

「ちが、」
「そうです。この前僕が告白しました。」

「ほぇ、なんか意外だな。
明るい須藤さんと、静かな星野くんなんて」

「そうですか?僕は朱音のこと好きですよ。」

"好き"
簡単に発せられたその言葉は、本心ではないからだろう。

「お幸せにな。あと、今日も頑張って。」

「はい。頑張ります。」

リーダーは、先生との打ち合わせ?があるらしくいなくなってしまった。

「おい。ちゃんと設定守れって。」

「ごめんて。」

カフェで、約束した恋人提携。
海斗から頼まれたのは3つ。

1つ、誰がどこから見ても完璧な恋人に見えるように振る舞うこと。

2つ、SNSでも恋人のように匂わせること。

3つ、恋人提携の見返りとして、言うことはなんでも聞く。


なんでも、最近全く知らない女の子から付きまとわれたり、告白されたりが酷いらしく、
カモフラージュに私を使いたいとの事だった。

まぁ、私みたいなのがいれば、確かに自分は告白されたりすることもないだろうけど、
私の気持ちなんて知らないから、そんな簡単に言えるんだろうなと思った。

初期のボランティアから、海斗がいることは知っていた。でも、私の事なんて忘れていると思ってた。

でも、忘れてなんて居なかった。


関わりを持ってしまったら、せっかく忘れていた海斗への恋心がまた再燃してしまうのでは無いか思うと怖くて、距離を置いていたのに。

ペアになってしまったあの日から、少しずつ、時の流れは変わってきてしまったのかもしれない。

それでも、好きだった人の頼みを無下に断ることは出来なくて、カモフラージュだったとしても少しでも海斗と恋人ごっこができるなら、それでもいいかなと思い快諾した。

きっと海斗も分かってたから、恋人提携の見返りとして、何でも言う事を聞くなんて言ってきたんだろうな。と思った。
こういうところが、優しい。

「みんな!今日もお疲れ様!!」
リーダーの元気いっぱいの声。
何十人もメンバーがいるのに、一人一人の性格とか把握しててほんとにすごいと思う。
少しお調子者のところもあるけど。

「朱音、酒飲めんの?」

「バカにしてる?私だって20歳なんだよ?」

「そうか笑 僕の中の朱音はずっと高校生の時のままだよ。」

何それ、、と聞く前に海斗はリーダーに呼ばれてしまい隣からいなくなってしまった。

ずっと高校生のときのまま??
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