Letter - 大切な人 -
「これでしばらく勉強しなくてもいいって考えると俺は元気でしかたがないけどな」
「いやいや、和巳は僕と同じ大学に行くんだからまだまだ勉強漬けでしょ」
そう言って二人で笑った。
「でも大学ってさ、なんだか楽しそうじゃん? ほら、結構遊べそうだし…とか?」
言葉尻が薄くなっていく和巳。
「はっきり遊びたいって言えばいいじゃん、まあ勉強はきっちりしてもらわないと困るけど。
その代わり僕が遊んでおくから安心して」
「なんだよくー、自分だけ楽しもうとしてるんじゃないよ」
あははと笑う。
笑いのない笑い。
笑顔のない笑顔。
でも誰も何も言わない。
理由を知っているから。
涙も流さない、泣き言も言わない。
それだけで満点だ。