Letter - 大切な人 -
「今日の朝、告白しようって決めていたんだ」
いつだったか教えてくれた同じ電車に乗る他校生のことだった。
「降りる駅はオレのほうが早いんだ。
だから下りる直前に告白しようと決めてた」
ぽつり、ぽつりと。
「電車の込み具合も毎日変わらないし、何両目に乗ってくるのかも大体決まってる。
今日も変わらない場所に座るかもしれないと思って。
同じ場所に座ったら告白しようって。
決めてたんだ」
青空の輝きを遮るように手を広げて空に伸ばす。
「『やめてください、困ります』って」
二十秒ほど沈黙があった。
「うん」
小さく相槌を打つ。