Letter - 大切な人 -

「くぅもさぼり?」

 本気で眠りそうになっていたのか足音に気付かず後ろから聞こえてきた竜の声で意識を戻す。
「さぼるつもりはないけど、さぼりたい」
「なんだよそれ」

 近づいてきた竜は小さく笑いながら美利の頭をくしゃくしゃと撫でる。

 美利はそのあいだもずっと目を閉じたままだった。

 あまりの心地よさに目を開けるのが億劫だった。



『カサ……カサカサ』

 近くで枯葉を踏みしめる音がする。

 そんな音が心地よくて再び眠気が襲ってくる。


 HRが始まる十分前を知らせる鐘の音が聞こえた。

 鐘が鳴っている間も鳴り終わってからも美利はずっと目を閉じたままだった。


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