Letter - 大切な人 -


 竜の肩が動く。

 美利の頬にキスをする。

 首筋にキスをする。


 体力はあるはずだ。
 しかし振りほどけない。


 竜はなんでこんなことを……?


 竜の右手が腰に回った時に美利は我に返る。



―――今僕は、竜に襲われている。



 改めて精いっぱいの抵抗をするが男の力にかなうはずもない。

 逆にもがきすぎてスカートが捲れあがってしまっている。

 『何もできない……』

 諦めという言葉が脳裏をよぎった時。

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