Letter - 大切な人 -

 授業が始まるまではまだ時間が早い。
 しかし少しずつクラスメイトが登校してきた。


「おーい」

 廊下から智樹が三人を呼ぶ。
 その横には琢己も見える。

「行きますか」

 和巳が言って立ち上がった。
 それに続いて三人は智樹の元へ移動する。
 そしてそのまま雑談をしながら裏庭に移動する。



「今日も天気がいいな」

 琢己が両腕を上に伸ばしながら言う。

「今日のHRもサボりだな」

 智樹が呟いて空を見ている。

「最近先生と会うたびにHRに出ろって言われるんだよね。そろそろ真面目に教室にいた方がいいかもね」

 そんなことを言いながらも美利は教室に行く素振りは見せない。

 この空間は五人にとって大事な時間だった。
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