Letter - 大切な人 -
第十九章 平穏な日常

 気が付けば美利たちにとって高校生活三度目の冬を迎えていた。

 その間の五人は相変わらずの会話をして相変わらず裏庭で過ごし、相変わらずの生活態度で全てにおいて何も変わらない生活を過ごしていた。

 その相変わらずが変わってしまったのは、三日前のこと。


 学校帰りだった。

 二年生の秋頃に見つけた駅から少し離れた場所にあるこじんまりとした喫茶店。

 カウンターは七席ほど。テーブル席が四つ。

 カウンターにはマスターが旅行に行った際に買ってきたらしい小さな置物が所々に置かれている。

 木製のものが多く、知育玩具のようなパズルや木の箱も置いてある。

 恐らく手作りのカウンター席やテーブルは木の年輪がしっかり浮かび上がっていて、上から下がっている吊戸棚にはきれいに磨かれたグラスがかけられている。


 斜めになったグラスに水が入れられて運ばれてくる。
 自慢のコーヒーや紅茶、時にはボリュームのあるパスタを食べながらくだらない話をして盛り上がるのがこの頃の習慣になっていた。

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