追憶ソルシエール
飲み物を片手に持った男子二人。
谷川くんと同じ制服を着ている。
「そりゃチャック開いてたら落とすでしょ」
「俺もいつ気づくんだろーって思ってた」
「俺もあえて言わなかった」
「お前ら見てないで手伝えよ! それでも親友かよ!」
親友と呼ばれたふたりのうちのひとりと目が合う。軽く微笑まれ、同じように返したつもりだけど、多分、きっと、ぎこちない。
「世莉」
ハッとした表情でこちらを振り返る那乃に、大丈夫、という意味を込めて頷く。
いや、大丈夫じゃない。緊迫した様子の那乃を落ち着かせるため、冷静に頷いたけれどわたしも驚きを隠せないでいる。あまりにもこの世界は狭すぎるのではないか。
「ふうー、やっと片付いた」
両手いっぱいに教科書を抱えた谷川くんは立ち上がる。膨大な量の教科書。それをリュックに入れて背負っていたなんて考えると肩が壊れそう。とてつもなく重そうだ。
「あ、このふたりは同じ学校の友達! こっちは中学のときの友達!」
谷川くんはその教科書を抱えたまま、左右を交互に見て友達紹介をしてくれた。
「こんにちは。佐田凌介です」
「どーもー、橘由依です」
「西野です」
……この状況をわたしはどんな心情で見ればいいのだろうか。ただただ不思議だ。あまり経験することない状況な気がする。
谷川くんと同じ制服を着ている。
「そりゃチャック開いてたら落とすでしょ」
「俺もいつ気づくんだろーって思ってた」
「俺もあえて言わなかった」
「お前ら見てないで手伝えよ! それでも親友かよ!」
親友と呼ばれたふたりのうちのひとりと目が合う。軽く微笑まれ、同じように返したつもりだけど、多分、きっと、ぎこちない。
「世莉」
ハッとした表情でこちらを振り返る那乃に、大丈夫、という意味を込めて頷く。
いや、大丈夫じゃない。緊迫した様子の那乃を落ち着かせるため、冷静に頷いたけれどわたしも驚きを隠せないでいる。あまりにもこの世界は狭すぎるのではないか。
「ふうー、やっと片付いた」
両手いっぱいに教科書を抱えた谷川くんは立ち上がる。膨大な量の教科書。それをリュックに入れて背負っていたなんて考えると肩が壊れそう。とてつもなく重そうだ。
「あ、このふたりは同じ学校の友達! こっちは中学のときの友達!」
谷川くんはその教科書を抱えたまま、左右を交互に見て友達紹介をしてくれた。
「こんにちは。佐田凌介です」
「どーもー、橘由依です」
「西野です」
……この状況をわたしはどんな心情で見ればいいのだろうか。ただただ不思議だ。あまり経験することない状況な気がする。