追憶ソルシエール
そこからはかなり熱心に勉強していた。一番のおしゃべりである谷川くんが集中したおかげで、みんな自分の勉強に集中できたよう。わたしも今日でかなり勉強が進んだと思う。とはいえ、家でひとりで勉強するほうがわたしには向いているみたいだ。
ぶくぶくぶく、と顔を湯船に沈める。
今日の疲労はかなり大きい。精神的な疲労だ。
『わー、まだ帰りたくないなー。あ、明日も集まっちゃう!?』
谷川くんがそう言い出したときにはどうしようかと思った。なにを言い出すんだと机を叩きたくなった。
でも幸い、由唯くんが止めてくれたおかげで今日限りの勉強会となったのだ。
一瞬交わった視線。
べつに、と言い放った声がしきりに脳裏に浮かぶ。
ダメだダメだ。頭からその記憶を消し去りたくて、ぶんぶんと勢いよく首を振る。
先に逸らされた視線は、べつに、という言葉が似合うほど冷たくて本当に興味がなさそうだった。だからといって根掘り葉掘り聞かれるのも嫌だったけど。
「はあ、出よう」
湯船から出てシャワーを浴びる。
ぼーっとすると余計なことを考えてしまう。自分がよくわからない。考えないように、と思えば思うほど無駄に考えてしまうのは人間の不思議だ。
こういうときはなにも考えず早く寝るべきだ。