追憶ソルシエール

まだ違和感はあるけれど、由唯くんが気軽に話しかけてくれるおかげですぐに慣れそうだ。



数人の子どもたちが駆け回っているのを眺める。まだ日が暮れない今、小学生にとって絶好の遊ぶ時間帯らしい。

小さい頃は、ママやパパに連れてきてもらってよく遊んでたけど、最近は公園を見かけても通り過ぎてしまう。

こうやって少しずつ大人になっていくんだなあと思うと感慨深い。



「子ども好き?」

「え?」

「ずっと見てたから」



無邪気に遊ぶ様子を視界に映していれば、隣から質問の声が届く。そして、明るい声が飛び交うほうへと視線を向けたあと、もう一度わたしに視線を戻し、続けて述べられた理由。



「んー、こうやって遠くから見るのは好きだけど直接関わるのは苦手かも」

「そうなんだ?」

「うん、わたしひとりっ子なんだけど、そのせいか歳が離れてる人との接し方が難しくて」

「あー、たしかにそれはあるかも」



僅かな年齢差だったら話す内容も大して変わらないから会話に困ることもあまりない。でも、自分よりひと回りも小さい子相手を前にするとどう接していいか迷ってしまいそう。


「てか世莉ちゃんひとりっ子なんだ。お兄ちゃんいそうなイメージだった」

「ほんと? でも頼れるお兄ちゃんほしいなーって思ったことはある」

「いたら過保護にされてそう」

「えーそれはやだなぁ」


思わず苦笑いを零せば、由唯くんもつられて笑う。

那乃は一個下の弟とよく喧嘩するらしい。わたしも1回兄弟喧嘩してみたいと言ったら、すぐさま『やめときな』と止められた。昔は兄弟や姉妹がいる子が羨ましかったけど、今はひとりっ子で満足している。
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