追憶ソルシエール
「あーもう帰んないと」
画面を見るなり、そう呟く。
ここに来てそんなに時間は経っていないけど、辺りは少しずつ薄暗さに包まれている。
「妹がお腹空いてるから早くパン買って帰ってこいって母さんが」
スマホの画面を向けられて見てみれば、その文面の後にかわいいくまが怒ったスタンプも送られてきている。
「由唯くん妹いるの?」
「そーそー。けっこー歳離れてんだけどね」
「へえ、意外……」
「そ?」
「……なんかもっと、チャラチャラしてるイメージだった」
由唯くんがお兄ちゃんというイメージが全然なくて、失礼承知の上つい正直に本音を漏らしてしまえば、由唯くんは、ふはって吹き出した。
「それはよく言われる」
髪色のせいかなー、なんて言いながら指で毛先を弄っている。ミルクティー色の髪は、日が沈みかけている今でも目を引く。日中の日差しを浴びたら透けてしまいそうなほど明るいと思う。
「それもあるかも」なんて同調すれば、「やっぱり?」とこちらを一瞥して笑った。
画面を見るなり、そう呟く。
ここに来てそんなに時間は経っていないけど、辺りは少しずつ薄暗さに包まれている。
「妹がお腹空いてるから早くパン買って帰ってこいって母さんが」
スマホの画面を向けられて見てみれば、その文面の後にかわいいくまが怒ったスタンプも送られてきている。
「由唯くん妹いるの?」
「そーそー。けっこー歳離れてんだけどね」
「へえ、意外……」
「そ?」
「……なんかもっと、チャラチャラしてるイメージだった」
由唯くんがお兄ちゃんというイメージが全然なくて、失礼承知の上つい正直に本音を漏らしてしまえば、由唯くんは、ふはって吹き出した。
「それはよく言われる」
髪色のせいかなー、なんて言いながら指で毛先を弄っている。ミルクティー色の髪は、日が沈みかけている今でも目を引く。日中の日差しを浴びたら透けてしまいそうなほど明るいと思う。
「それもあるかも」なんて同調すれば、「やっぱり?」とこちらを一瞥して笑った。