屑 作 成 レ シ ピ
『ああ、覚えてたんだ』
わたしの手を引いて、みんなの輪を二人で抜け出して。
気づけばわたしの友達もセイの友達も共通ばかりで、周りから固められてたことも今ならわかるだろう。
『あんときから俺、お前のことしか見てなかったよ』
友達の境界線を突き破って、
先にグレーから黒になったのは、セイ。
とっくに好きになっていた、
わたしの友情を黒に染め上げたのも、セイ。
友達から始まった恋人関係は、
本当に過ごしやすくて、居心地がいい。
はじめの頃は切り替え方がわからずにドキマギしていたけれど、
そんなわたしをみて面白そうに笑ってくれていた。
ちゃんとドキドキしてた。
それはセイだって、同じだった。
セイが少し余裕なさそうにする表情は、恋人になったから見れる唯一だった。
セイがわたしに欲情する姿は、わたしだけのものだった。
不安なんてなかった。
嫉妬もやきもちも、どちらかと言えばセイばかりで。
わたしばっかりが、安心していた。
ああ、こうやって落ちていく恋もアリだななんて。
本当に浮かれてた、ひとつの恋だった。
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「―――こんなこと言うのも馬鹿馬鹿しいけど」
「………」
「アイツはちゃんとお前に本気だったよ、結構、ガチで」