屑 作 成 レ シ ピ
恋人とかめんどくさい関係なしにして、
後腐れのない女をテキトウに抱いてりゃ欲は満たされんだよ。
アイツの友達として紹介されたこの男は、第一印象から本当にいいイメージがなかった。
目に見えたクズ男なんているものだ、いっそ潔くて清々しい男だった。
「別れるよ」
「それ何回言ってんの?」
「……本当に別れる、もう目標は達成したし」
「あっそ、都合よく俺を使っていただいてアリガト」
「……アイツも、少しは傷ついてくれればいいのに」
「………」
「きっと、なんとも思わないんだろうね」
世の中はもう日付が変わるようだった。
このラブホテルには、きっともう二度と行かないだろう。
「楠《くすのき》」
「なんだよ」
「……あんた、虚しいね」
「…お前らだけには言われたくねえよ」
助手席に乗って、だるそうに運転している、最低な男と一緒に。
ああ、そっか。もうとっくにわたしも最低な女だ。
でもアイツも最低だから、もうみんなそろってクズでもいいか。
目指す場所、あのお世辞でも綺麗とは言えない、少し古びたアパート。
一緒に部屋まで乗り込んでやろうか、本格的な修羅場を楽しもうとしている男に別れを告げる。
「如月」
「……なによ」
「………まあ、また抱かれたくなったらいつでも呼べば」
「……気が向いたらね」