ある忘れ去られた世界のお話
あの光に、最期の想いを…
昔、この星の様々な地域には、栄華を極めて滅んだ頃が何度もあるという。

世界の前を歩き、小さな土地を広げ……人々が昔の幸せを振り返りながら、今、というものの幸せも感じられないまま、過去の栄華に縋って生きてきた場所。

それも遥か昔に疫病が流行り、人々は混乱し、最先端の技術というものを求め続けたその場所はもう影も形もない。小さなその場所は海に沈んだ。

いまはもう、この星全てが捨てられた場所になった。
生き物もいない。皆、残った人間すらも星から出ていった、全てが終わった場所。
僕は一人、この星の終わりを見つめる。

「…姫を……。彼女はこの星の最後の光だ…。もう僕の身体は蝕まれている……たった一人しかいなくても、せめて彼女は最後まで人間らしくいて欲しい…。」

両親からも離され、幼い彼女はたった一人、遥か昔に語られた穏やかな世界を夢見ながら、何も知らずに眠る。

『ご主人様。』

彼は、僕の幼い頃の恩師だった人を模したアンドロイドだ。見た目は人間でなくとも、内面は人間らしくなるよう僕が造った、最後の希望…

「姫を…頼む、リング……」

僕の最後の願いだった。


僕の造った彼は旅に出る。
人の勝手で作られた、機械たちに管理された牢獄へ、彼女を救うため…

僕の役目は終わる……

「どうか幸せに……姫……」

彼女にも、いつか光が満ちることを祈りながら、僕は永遠の夢を見る……
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