スイーツは甘くなくちゃダメでしょ?
舞が接客をしながらチラリとその人たちを見ると、スイーツをお皿に山ほど盛って写真を撮っている。SNSにアップするためだろう。写真を撮るお客さんは他にもいるため、まだ我慢できる。しかし、問題はここからだ。

「しっかしさ、お前らよくこんな甘ったるいもん食えるよな〜!」

男性の一人がミルフィーユの皮を一枚ずつめくり食べることなく別の皿に乗せていく。綺麗なミルフィーユは一瞬にしてぐちゃぐちゃになってしまった。

「全部は食べないわよ〜。こんなに食べたら太るし。でもスイーツの写真って映えらから〜。ていうか、このタルトのフルーツ嫌いなもんばっかりなんだけど!」

女性が自分の食べられないフルーツを摘み出していく。宝石のように煌めくフルーツたちは食べられることはなく、ただ皿の上にいくつも置かれていた。

「はい、俺特製のドリンクで〜す!一気飲みしてくれる人〜?」

男性が注文したコーヒーと紅茶、ジュースに水などを混ぜ合わせ、一気飲みを強要する。そして無理やり飲まされる羽目になった人が吐きそうになり、ゲラゲラと下品な笑い声が店中に響く。
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