スイーツは甘くなくちゃダメでしょ?
「何だと?」

「客に向かって何その態度!」

男女は立ち上がり、舞に詰め寄る。一人の男性に胸ぐらを掴まれ、舞はヒュッと息を飲んだ。さっきまで口から出ていた言葉が恐怖で出なくなってしまう。

「客のこと、舐めんじゃねぇぞ!」

男性が拳を振りかぶり、反射的に舞は目を閉じて衝撃と痛みに備える。しかし、「女の子に何乱暴しようとしてるの?」という低い声に目をそっと開けた。舞の胸ぐらを掴んでいる男性の手を周が掴んでいる。その顔は、いつもの可愛さなどどこにもなかった。怒りに満ちたその顔に、男性が怯えるのがわかる。

「べ、別に乱暴なんて……。ちょっとビビらせようとして……」

「へえ、ちょっとビビらせるくらいならいいんだ?」

周が胸ぐらを掴んでいる手をさらに強く握ると、メキメキと骨が軋んでいく嫌な音が響く。男性が「痛い!痛い!」と言いながら舞から手を離すと、周は男性の顔に拳を叩き込む。舞は驚いたが、拳は男性には当たらず寸止めをしたことに気付いてホッと胸を撫で下ろした。
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