【カルマ〜青春白書】1章完結
【秘策】
10分の休憩中、
和也は皆に休むよう、
伝えた。
これといった指示はなく
一人で考えていた。

そこに何やら、
忍び寄る影が………

「あの〜………」

二中の女生徒だ。

「はいっ?」

「握手してください」

なんと大胆な!
よくみると十人くらいは
集まっていた。

「ちょっとちょっと!」

一目散に駆け寄ったのは
そう、ゆりである。

「今試合中でしょ!」

ごもっともである。

「へぃ、ガールたち!」

へらへらして現れたのは
風早のまっちゃんだ!

「俺ならいくらでも
握手、おまけに
あつ〜い、チュウを
差し上げますぞ〜、
ほれほれっ」

「ギャー」

そそくさに逃げる
二中の女生徒を
追いかけ回すまっちゃん
風早サイドには
いつもの笑いがあふれた

一方、対照的な
二中ベンチ、
二点リードの割には、
なんとも空気が重い。
どうも早々の失点が、
二中キャプテン越智の
怒りをかったのだ。
左サイドの一年が
縮こまってるのが
遠くからも見える。

和也は高さんと唐沢、
一年東を個別に呼んだ。

2ndクールが始まり
最初はどっち付かずの
展開となっていた。

和也はここで試合を止め
サイドの一年前田と
二年唐沢の
メンバー交代をした。

この唐沢、実は元々
確定レギュラー。
100M12秒ジャスト、
めちゃくちゃ早い。

それは合図だった。
左サイドを駆け上がる、
誰も追いつけない唐沢に
高さんからのロングパス
唐沢→松ちゃん、さらに
東にダイレクト、
東がフェイクで和也へ、
瞬く間にシュート!
それはあっという間の
完成された秘策だった。
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