粗大ごみを拾ってしまった(恋する冥府の王・死神シリーズ2)

粗大ごみの病気・13-17ページ

<夜間救急クリニック>

何とか夜間救急外来までたどり着くと、
受付で問診票の紙を渡された。

加賀城はほとんど目を閉じている。

すぐに記入しなくては、ならないのだが・・

ミイヤは少し躊躇(ちゅうちょ)したが
「あの、保険証ありますか?・・
記入しなくてはならないので」

やっとのことで、
薄目を開けて加賀城は
コートのポケットから財布を出した。

「その中・・・」

二つ折の財布は、ミイヤの膝に落ちるように置かれた。
高級ブランドの本革の黒の財布。

「見ちゃっていいのですか?」
ミイヤは聞いたが、答えない、
その気力がもうないのだろう。

しかたがないので、財布を取ると
中を確認した。

1万円札が10枚ほど、キャッシュカード、免許証、
保険証は国民健康保険
名前は
<加賀城 剛士> 

生年月日は 
弟と同じ年だ・・7歳年下。

それにコンドームのパッケージが
入っている。
ミイヤはため息をついた。

この年齢の男子なら
<あたりまえ>か・・

気持ちを切り替えて、すぐに問診票の記入に集中した。

看護師が名前を呼んだ。
「加賀城さん?
どうぞ、1番の診察室にお入りください。」

ミイヤはふらつく加賀城の腕を
つかみ、診察室に入った。

< 14 / 57 >

この作品をシェア

pagetop