粗大ごみを拾ってしまった(恋する冥府の王・死神シリーズ2)
<救急クリニック・午前1時>

担当の医師が言った。

「インフルエンザですね。
脱水症状が出ているので、点滴しましょう」

加賀城は看護師に処置室に、
連れていかれた。

ミイヤは、待合室で待つことになった。
点滴は結構長くかかる。

しばらくして、看護師が眠っているミイヤの肩を、ゆすって言った。

「加賀城さん?
加賀城さんのお姉さん?」
「お姉さん?」

あれ、そうだ、たぶん私の事だろう。
何かの都合で、すでに姉になっているらしい。
待合室で寝てしまった。

点滴を終えた加賀城が、ぐったりとして隣に座り込んだ。

「もう会計をすませて、お帰りになっても大丈夫ですよ」

とにかく急いで、会計をすませてタクシーを呼んだ。

もう午前1時だ。
何とか加賀城を連れて、タクシーに乗り込み、
ミイヤはふと気が付いた。

<この人、鍵がないって・・>
家には入れない、ホテルか?
無理だろう。

選択肢はない。
よく知らない男性を、部屋に入れる気はないが・・・

「もう、しょうがない、
病人だし・・・」

エレベーターで、レディファーストを実践してくれた。
この人を紳士だと思いたい。

タクシーの中で加賀城は
ぐったりとして頭を下げ、ミイヤに寄りかかっている。

どこに寝かせるか・・リビング? 何を着せる?

車の窓ガラスに、雨が激しく水滴をたたきつけている。
加賀城からは、湿った雨の匂いとかすかに泥の匂いがした。
それにたばこ臭い。
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