粗大ごみを拾ってしまった(恋する冥府の王・死神シリーズ2)
<ミイヤの寝室。9時10分>

「さて・・」

瞑王がガラス戸を閉めると、部屋を見回した。

指を軽く動かすと、クローゼットの戸がするっと開いた。

クローゼットからは、ラベンダーの香りがした。

見ると、ハンガーパイプに
ラベンダーの乾燥した花束がつりさげられている。

ハンガーにはスーツばかり、
それも紺、黒、グレー、
地味で目立たない色合いばかりだ。

白のシャツブラウスも、5~6枚ほどかかっている。

棚の上には、大き目の黒のバック・・
それも就活仕様のものが数個置いてある。
「ふーん、つまらんな」

また、指を少し動かすと、
クローゼットに収納されている
引き出しが滑り開いた。

1番上は
ハンカチやハンドタオルなどの小物が、きれいにたたまれて入っていた
2番上は
ブラジャーがきれいに収納されていた。
白、ピンク、ラベンダー、ブルー、ベージュ。
装飾レースが繊細で、淡い色合いが美しい花畑のように見えた。

「ふん」
瞑王が関心を引いたようで、
その手を動かすと
1枚のブラジャーが、ひらっと手に乗ってきた。

まるで小鳥が止まるように。
「75のC・・意外だな」

瞑王はそのブラジャーを軽く放ると
まるで魔法のように、
またブラジャーは元にあった場所に収まった。

その隣には
そろいのパンティーが、
店のディスプレイのように美しくたたまれていた。

それらは
すべてブラとセットアップで、
そろえられているのがわかる。

「有事に備えて万全の態勢か?」

あの<人の女>は・・
意外すぎる・・純潔の百合なのに。

瞑王はククッと笑い、一人でうなずき納得していた。

次の引き出しは
化粧品・ヘアブラシや手鏡などの小物類だった。

化粧品は最低限、ネイルも透明か薄いピンクが2本ほど。

クローゼットの床には、
本がたくさん積み重ねられていた。
「読書家なのか・・・」

ここに住んでいる<人の女>は
地味で、つつましい生活をしている。

が、下着は高級品好みなのか。

だからこそ、
これだから<人の女>はおもしろい・・

秘密の花園を楽しんでいる。
それに
やたらにまじめのようだ。



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