粗大ごみを拾ってしまった(恋する冥府の王・死神シリーズ2)
<上条ミイヤの部屋・ベランダ>

ブーッ・ブーッ

瞑王の上着のポケットに入っていた、
スマホの音が鳴った。

マナーモードなので、
大きな音ではなかったが・・・

その振動音に、
現実に戻った瞑王が、少し体を離した。

「くそっ・・邪魔が入った!
目を閉じろ!」

いらついたように、
大きな声でミイヤに命令した。

その声の大きさに、
ミイヤは言われた通り目を閉じてしまった。

それは瞑王のかけた、
催眠術の解ける合図だった。

次にミイヤが目を開けた時、
誰もいない。

ベランダの下、
すでに暗闇で街灯の明かりが見える。

今のは・・なんだったのか

ミイヤは
そのままベランダに座り込んでしまった。

手すりの鉄パイプには、
黒い大きなカラスが止まっている。

黒いガラスのような目玉が
ぐるりと動き、ミイヤを見た。

カァー

それは、
一声鳴くと、飛び立っていった。
「あれは・・何だったの・・?」

<これは・・現実ではない・・
でも
なにかの想いが残っている>

なぜ、泣いたのか・・

指先を涙で濡れている頬に、
それから自分の唇に触れた。


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