粗大ごみを拾ってしまった(恋する冥府の王・死神シリーズ2)
<加賀城の部屋・405号室ベランダ>

加賀城がベランダに座り込み、
たばこを口にくわえた。

「さすがです。瞑王様。
いつもながらの強引なやり口は、
称賛に値します」

大げさな言い回しで、
大森カラスが隣にとまった。

皮肉屋の大森カラスだが・・・
仕事は手早い・・

瞑王は言った。
「あの座敷童を子猫にのり移らせた。

だいぶ抵抗したがな・・
なんとか押し込めた。

まぁ、ミイヤがかわいがるだろうから・・
座敷童も満足はするだろう。
期限付きだが・・・」

ミイヤはあの子猫を抱き、
一緒に遊んだり、同じベッドで眠りもするだろう。

座敷童の望んでいたこと・・・
が、実現されるはずだ。

「1か月ですよね・・
その時にあの小僧がまた、
だだをこねたら、どうするのですか?」

大森カラスの黒い目が、ぐるりと回った。

「何とかしよう・・
俺が弟の代わりになるか・・
恋人になればいいのかな。

そうすれば座敷童も、あきらめるだろう?」

瞑王は
自分の手の、猫のひっかき傷を見ながら、苦笑した。

大森カラスは、くちばしを羽に突っ込んで、渋い顔をした。

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