粗大ごみを拾ってしまった(恋する冥府の王・死神シリーズ2)
<大森のプラン>
5分後だった。
エレベーターから長身で濃紺のスーツの男性が、
ビジネスバックを持ち現れた。

「大森・・こっち」

大森と呼ばれた男性は、肩幅が広く、胸板が厚い。

ラグビーかアメフトをやっていた人のように見えた。

筋肉質で、浅黒い精悍な顔立ち、
ボディガードのような雰囲気だった。
中年というより30代前半だろうか。

「大森と申します。よろしくお願いいたします」

大森はスーツの内ポケットから
名刺入れを出して、ミイヤに名刺を渡した。

芸能プロダクションとイベント企画会社の名刺だった。

ミイヤは、深々と頭を下げた。

「お忙しいところ、お呼びして申訳ありません」

「いえ、仕事ですから」
大森は無表情に、かつ簡潔に答えた。

「大森マネージャー、
上条さんの希望を聞いてあげてくれる?」

「わかりました。社長」

え、え、え、え、社長て・・?
ミイヤは少し後ずさりすると

「俺の事務所だから・・一応代表取締役なんだ」
加賀城は普通に答えた。

ミイヤは動揺しながらも、スリッパを並べた。

「どうぞ、おあがりください」

その時、
子猫が吹っ飛んできて、
加賀城にパシッと猫パンチを食らわせてきた。

すんでの所で、加賀城は避けたが・・・

すかさずミイヤは猫を押さえこみ、ケージに何とか押し込めた。

「これが・・例の猫ですか・・」

大森が笑いをかみ殺して、興味深そうに猫を見た。

「うん、かわいいでしょ、
俺の猫だからね」
加賀城が、苦笑いしながら答えた。

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