粗大ごみを拾ってしまった(恋する冥府の王・死神シリーズ2)
<カラオケ大会・控室・18時・ミイヤの決心>

まずは加賀城に
お礼を言わねばならない。

そもそも加賀城は、
ミイヤの願い事を次々にかなえてくれた人だ。

加賀城のいる控え室のドアを、
ノックした。

「失礼します。加賀城さん・・・
上条ですが」

そっと引き戸を開けると、
加賀城はすでに衣装を着替え終わったようで、
いつもの加賀城に戻っていた。

椅子に座り、マネージャーの大森と話をしていた。

加賀城が戸口のミイヤを見て

「いいよ、話は終わったから・・
入って?」

大森は相変わらずの無表情だが、

「それでは失礼します。また連絡をします」
と言って、
ミイヤにも軽く一礼して扉をしめた。

「これから花火だ・・
ここからも見えるから・・
一緒に見る?」

加賀城は椅子を窓側に寄せて座った。

「本当に今日は、ありがとうございました。助かりました」
ミイヤは頭を下げた。

「別に気にしないで・・
俺もここの住民だし、ネコも預かってもらっているし」

加賀城は窓の側に来るように、
ミイヤに手招きした。

ミイヤはおずおずと切り出した。
ずっと考えていたことだ。

「あの・・お願いしたいことが・・・
ネコちゃんのことで・・

その・・ネコちゃんが欲しいです。
私・・
これからも一緒に暮らしたいと思って・・」

「うーん・・そうきたか」
加賀城は
ミイヤの方に手を差し伸べた。
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