粗大ごみを拾ってしまった(恋する冥府の王・死神シリーズ2)

粗大ごみとの対決・4-7ページ

<ゴミ出し犯人との遭遇・10時>

今日は市役所の用事をすませるため、
ミイヤは10時に部屋を出た。

自分の家の鍵を閉めていると
、隣の家のドアが開いた。

例の405号室だ。

若い細身の男性が、くわえたばこで
黒いコートを着て、
大きな45リットルゴミ袋を
持っている。

あの、ゴミの主はこの人に違いない!!
たぶん加賀城本人だ。

「今しか注意するチャンスはない!!」

ミイヤは
ゴミ袋を持ってエレベーターに向かう男性に、声をかけた。

「あの・・・それってごみですよね?」

男性の声は少し戸惑う感じで
「・・はい・・何か?・・」

やや長めの髪はぼさぼさで、
黒縁の眼鏡をかけている。

黒のコートの下は、黒に近いグレーのジャケットと細身のジーンズ、

髪の寝癖から、どうも寝て起きてすぐらしい。

片手には火のついた煙草・・・
ミイヤはたばこに目をやりつつ、
仕方がなく言った。

「あの、ゴミ出しの件なのですが、
私、今年度のマンションの管理組合の役員をやっています、
上条と言います。

ごみの件でお話があるのですが」

その男は、
ミイヤの顔を不思議そうに見て、
たばこを口にくわえた。

「この、ごみ、
今日は収集日ではありません!
曜日をきちんと守ってください。」

ミイヤは一気に言った。
いままでの怒りを込めて。

男性は不審げに
「あんた、人のごみ、
あさるのか・・プライバシーの侵害だぜ」
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