粗大ごみを拾ってしまった(番外編その1) 大森カラスの憂鬱

大森、瞑王と出会う

<大森の記憶・その1>

その昔、
大森は獄界幹部の武闘派として、
恐れられていた存在だった。

ある日、珍しく天界に呼ばれた。

「とある方の・・・
護衛と世話係をお前に任せたい」

天界の重鎮は言いにくそうに、
なぜか含みを持たせて言った。

「天界ではいろいろあって・・
だが・・冥府には向いていると
判断された方だ」

重鎮の口ぶりでもわかるが、
天界でかなりの高位に属する
霊体なのだろう。

<いろいろあって>・・とは何なのか。

「この先で、
その方はお待ちになられている。
行くがよい」

重鎮は
<それ以上の会話はしない>という目で大森を見た。

そして、
金粉を渦上にまき散らして消えてしまった。いや、逃げたのか?

大森が雲間の先へ進むと、金粉が流れてくる。
金粉の元に<そのお方>はいるのだろう。大森は理解した。

金粉の流れる先から、音楽が聞こえる。
天界の音楽は・・・美しい
・・・心を奪われる

クラビィーアを弾く、その霊体の後ろ姿が・・
金粉の霞に、覆われているように見えた。

それでも
流れるように輝く黄金の髪、純白の大きな翼にも金が混じる・・・

音が止まり、
その霊体は・・ゆっくり振り向いた。

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