Tear Flowers〜それぞれの正義〜
「誘拐の手口が三つとも同じですね。二人の男性が注射を打って連れて行くところが」

レイモンドがそう言い、「しかも目撃もされてるんですよね?白昼堂々とこんなことをするなんて……」とエヴァンも口を開いた。

「この犯行手口は恐らく、国際捜査本部が長年追い続けている犯罪集団だと考えられている。その組織の名前はColumbine。女性を誘拐して人身売買を行なっている犯罪組織だ」

国際的な組織までもが追っているとは、よほど手強い犯罪組織なのだろう。しかし、ここに集まっているのは特殊能力を持った人物たちだ。きっと組織を潰すことができる。

そんな希望をエヴァンたちは抱いていたようで、すぐにでも事件現場に行こうとしている。無表情にそれを見ていたフィオナも支度をしようとしたが、その時にある異変に気付いた。

いつも無表情なフリージアが体を震わせ、涙をその両目から流していた。体と同じく震えているその唇からは、何度も何度も「ごめんなさい」と繰り返されている。
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