君の笑顔が見たくて〜僕たちの夏の恋物語〜
物語の始まり
彼の存在
「ゴホッゴホッ」
私は、小児喘息を持っている。
季節の変わり目や、台風が来る前
天候が悪い日は最悪なくらいに喘息の発作が出てきてしまう。
いつも、家にある機械で
吸入してそれでも、落ち着かない場合は 病院へ、それでも発作がおさまらなければ
入院。
薬がきつくなると、手が震えてしまったり
色々な症状が身体に現れる。
薬が効いている証拠だからとそうわかってはいても…。
はぁ…。
ため息をついてしまう。
そう。
梅雨から始まる。そして
台風がやってくる。
私はある意味バロメーターみたいなもん。
そして、アトピー性皮膚炎もあり
肌がカサカサとなり、痒くなってしまう。
そんな私は
天宮 雫久。高校一年生になった。
お母さんが心配そうに私の背中をさすりながら、
「雫久大丈夫?…大丈夫?」
と、顔を覗きながら聞いてきた。
息が苦しくて
うん、うん。って頷【うなず】くので精一杯で、
大丈夫だよ。
って意味を込めて笑顔で返事をする。
心配そうな顔をしていた
お母さんが少し顔を和らげる。
時に、お母さんの心配が負担に思う時がある。
今日は、発作が落ち着いて
お母さんの運転で学校へ車で向うことになった。
車の後部座席からミラー越しに母の顔が見える。
チラチラ私の様子を伺いながら
運転するお母さん。
私は、何も言わず
車の窓から外の景色をただ眺めながら
今日も、何故、学校に行かなくてはならないのか。。
憂鬱な気持ちを隠しながらただ
毎日かわりばいのない外を黙って眺めていた。
学校へつくとお母さんは職員室に
先生を呼びに向かった。
職員室から先生がでてきて
こちらをチラチラ見ながらお母さんと先生が話しだした。
話が終わったのか先生が近くに来て
「とりあえず、教室に行けそうか?」
先生はとても優しい。
いつも、私の気持ちも大切にしてくれる。
休んだり。遅刻したり…。
私は…クラスから取り残されたような気持ちでいたから。
お母さんを見ると心配そうに私を見てる。
本当は…教室には行きたくない。
そんな、仲のいい友達もいないし。
薬が良く効くと、手が小刻みに震えてしまって、それを見られるのも恥ずかしくて嫌だったから。
だけど、教室に入る事でお母さんを安心させれる。
しばらく考えてから
「はい…教室に行きます」
と、先生に答えてまた、お母さんの顔見ると、
案の定、お母さんは。ニコッと笑って
安心したようだった。
「じゃ、雫久。教室に向かおか」
先生の言葉に
うん。
と軽く頷いて
先生と教室に向かいローカを歩き出した。
角を曲がる時、お母さんの姿が視界に入ってくる。
お母さんは、私が見えなくなるまで
見送ってくれていた。
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