君の笑顔が見たくて〜僕たちの夏の恋物語〜
私の顎に彼は手を置いて・・・顎をグッと上げそいつの顔に私の顔をむけさせた。

私は

―――・・・見たくない・・・!


視線を逸らした。


「照れてんの?笑笑笑」


―――・・・からかってるの?―――


足がガクガク震えて・・・
怖さで・・・息がはいらない・・・。


―――はぁ・・・はぁ・・・は・・・ぁ―――


苦しくて、呼吸が早くなり・・・
一生懸命空気を取り入れた。


「・・・?興奮してんの?もしかして?笑
まじ、可愛すぎっ」


そうゆうやいなや、
私の口に、何か柔らかいのが・・・


一瞬で・・・解らなくて・・・


顔が目の前にあって、鼻があたる。


チュッチュッて、唇を・・・


―――・・・つっ!ヤダっ!離して!


私は、顔を横に向けようとしたけど
それに合わせて、そいつも顔を横にして、
唇を当ててきた。


怖さと、気持ち悪さで・・・


思わず・・・


―――オェッっ・・・


嘔吐をしてしまった。


その瞬間、私は解放され、地面に座り込んだ。

「・・・なっ!汚ぇなぁ!こいつ!
キスもした事ないのかよ!服、汚れたし!どうしてくれんの!」

後ろにいたやつが、


「ギャハハハハ〜。最悪じゃん!
汚ぇ〜笑笑動画とる?」


「はっ?こんなん撮るなよな!」


「早く風呂はいりて〜もう、帰ろうぜ!
キスもしらないやつ相手にしたら、後がややこしいしさ。凪紗・・・嘘つきやがって!」



―――・・・なっ・・・なぎ・・・さ?―――
凪紗さんが?仕向けたの?

頭の中が何も考えれなくなって
ただ・・・ただ・・・呆然と座り込んだままいた。


「雫久!?!そこにいんのは、雫久か!!」


慌てた声で・・・


あぁ・・・聞き覚えのある・・・声が。



―――バババババーーン。パラパラパラパラ―――


花火が上がり始めた。


花火の音で・・・良く・・・聞こえないよ・・・。


ゆっくり振り向いた…。


ゆうきくん?・・・


手の怪我があるから。・・・ゆうきくんだっ。


ゆうきくんが、手を怪我しているのに・・・


さっきいた男子の1人の顔を殴っていた・・・。



私は・・・慌てて立ち上がり、


ゆうきくんの名前を叫びながら、

フラフラしながら駆け寄って


ゆうきくんを強く抱きしめた。



「ダメだよ!ゆうきくん!」


抱きしめながら、ゆうきくんの顔を見た。


今までに見た事のないような・・・
怖い目をしていた。


「離せよ!雫久!こいつら!ほんと!
ボコボコにしてやるから!」


1人は逃げていなかった。


辞めてくれ・・・ゆうき・・・と



そいつは、かすれた声で助けを求めた。


「ゆうきくん!ダメだよ!死んじゃう!」






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