君の笑顔が見たくて〜僕たちの夏の恋物語〜
お母さんは、何度も、
「一緒にいこうか?」
と、心配そうに声をかけてくれた。


「大丈夫」
私は笑顔で答えた。


玄関まできてくれ、見送ってもらいながら、
私は、学校へと一歩一歩、地に足を
踏みしめながら歩いた。


ゆうきくんに会いたい。
それだけの思いだった。


だけど…学校の前に着くと…


少し…足に重りをつけたかのように
足取りが遅くなっていく。


わたしは、手をギューッと強く握りしめながら、口を強く結び、

大きく一歩を踏み出して
その勢いで職員室に向かった。


その瞬間

「天宮!」

小林先生が職員室の窓から大きな声で
私を呼んだ。



「そこにいて!すぐそっち行くから!」


先生は、そうゆうと窓から離れて
本当にすぐに駆け寄ってきてくれた。



私は、すぐさま

「先生。先日はすみませんでした…。
ごめんなさい。心配させてしまって…」


「何いってんの。無事でよかったよ。
今日、よく来たね。お母さんから連絡が来てさ。学校へ一人で向かいましたって」

先生は、笑顔でなんとも言えない目をしながら、私を見つめた。

「先生…。あの…。ゆうき…くんは?
ゆうきくんは、元気ですか?!大丈夫なんですか?!」


私は何よりそれが知りたくて学校へ来んだもん。


「あっ!ゆうきな!ゆうきもずっと
雫久の事ばっかり聞いてきてたよ。
大丈夫なのか!って。笑」


……えっ?ゆうきくんが私のこてたばかり聞いてくれてたの?…


「ゆうきは、今、第一指導室にいるよ。
だから、大丈夫だから」


……指導室にいるの?!
ゆうきくんが、すぐそこにいてるんだ!


指導室は、今 私のいる場所からは
斜め右前にある部屋。

数歩歩けば扉があり、その扉を開けたら…
開けたら…すぐ目の前に…

ゆうきくんが居てるんだ!


「先生!会えますか?お礼が言いたいんです!」


「……。ごめん!雫久…。今日は、会わしてはあげれないんだ。だけど、必ず
俺が雫久の気持ち伝えるから!絶対に!」

そう話してすぐ


「天宮さん。こんにちは〜」

初めて見た顔の女性が第2指導室から出て来た。
私は、誰だろ?と、見ていると


「あっ、雫久、この人は、
カウンセリングの先生の田中先生だよ」


…カウンセリング…。そうだった。


「初めまして…田中です〜。よろしくね」

ショートカットがよく似合う、小顔の
二重の垂れ目でゆったりした話し方をする人だった。

20代後半から30代前半くらいかな。。


「初めまして、天宮雫久です」


「田中先生、雫久をよろしくお願いします」


先生は、深々と頭を下げて


「じゃ。1時間目終わればまた、様子を見に来るからなっ」


先生はそうゆうと、教室へと向かった。

そんな先生の姿を見て
カウンセリングの田中先生が、
クスッと笑って、私を見た。


「小林先生は、いつも一生懸命だねっ」

優しい目の先生にホッとしながら

「はい。小林先生はいつも一生懸命で」

私もクスッと笑うと

「今頃、クシャミしてるかしら?笑」

「うん。ほんと、クシャミしてるかもです。笑」

たわいもない会話に安堵しながら、
カウンセリングの先生と第2指導室に
入って行った。







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