転校生は双子くん
”2人は”もの”なんかじゃありません。
感情を持った、1人の人間です”
”例え、本人の口から出たとしても、その人が本心で言っているかなんて分からないでしょ?
人の心なんて、その人自身にしか分からないものだと思いますけど。
人の心を共有は出来ても、所有はできないと思います”
「初めて本当の俺を見てもらったような気がしたよ。
この子に、本当の自分を見てもらいたいと思ったんだ」
そっか…。
それで突然、私に対する態度が変わったんだ…。
「だから、自分を偽るのはもう止めたんだ。
良子ちゃんのお蔭だよ」
私が何の役に立ったのか分からないけど、チャーリーの穏やかそうな顔を見ていると、チャーリーにとって良かったことなんだと思う。
これ以上、わたしが泣いてもしょうがないよね!
涙が溜まった目をゴシゴシ擦り、私は笑った。
「私のお蔭?
じゃあ、お礼に教室の片付けを手伝ってもらっちゃおうかな?」
ニシシシッて笑って、冗談っぽく言うと、チャーリーは胸に手をあてて、おどけるように一礼した。
「姫の申しつけであれば、何なりと」
「うむっ、良き働きじゃ」
私たちは笑い合って、作業にとりかかった。