転校生は双子くん
授業が終わり、わたしは裏庭までやってきた。
いつもの所定位置に腰掛ける。
フェンスの向こうでは、部活動に勤しむ生徒たちの姿がある。
大声で掛け声をあげてランニングしている生徒
柔軟運動をしている生徒
ボールを追いかける生徒
うーん、青春って感じ。
自販機で買ってきたホットココアを啜り、大きく息を吐き出す。
白い息が空に漂い、そして消えていく。
「ハァァ、寒いのに頑張るねぇ」
「お前は年寄りか」
背後からツッコミが入り、振り向く。
カバンを肩にかけ、呆れた顔をしたクリリンが私を見下ろしていた。
「クリリン、今帰り?」
私の問いかけにクリリンは「ああ」と短く返事をして、横に腰を下ろした。
「クリリンは部活動とか入らないの?」
うちの学校は、部活に入ることを強制されていない。
でも、多半数の生徒は何かしらの部活に席をおいている。
内申のために…という生徒も少なくないみたいだけど…。
「俺が入ると思うか?」
「思わない」
私はキッパリと答えた。
<ヘイオー!ファイ!ファイ!>
…なんて掛け声をあげながらランニングしているクリリンの姿を想像して、私はちょっと笑った。